2010年8月19日木曜日

北村薫著 ひとがた流し

北村薫の名前を見て、
「この人、去年あたりに賞取ってなかったか?」
と思ったのが買ったきっかけです。

バスを待つ、ホンの数分寄った本屋でのことです。
調べてみたら直木賞候補に上がってはいたものの、受賞はしておらず・・・・・・
どこで勘違いしたのやら

面白かったのですが、受賞作は本当にこれ以上に面白いのか?
などと思ってしまう。
購買意欲を操作されている気がしないでもないです


前置きが長くなりましたが、感想をば

あらすじ抜粋
アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々は、高校からの幼なじみ。牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持つ身だ。一方、千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢された矢先、不治の病を宣告される。それを契機に、三人それぞれの思いや願い、そして、ささやかな記憶の断片が想い起こされてゆく。


全体的に内容も文章も穏やかで読みやすいのが印象的でした
勿論、あるべき起伏はあります
ただ、その起伏でも、急かされるわけでなく、驚かされるわけでなく
淀みなく読める?感覚です
流石にラスト間近は別ですが
例えば、作中の謎、ミステリー部分の種が明かされることになっても
「ああ、そうだったのか」「なるほど」
と相槌を打つように納得できるんです。

以下読む楽しみ(ネタバレ)あり



この作品で印象に残ったのは2つ

一つは章の切り替わり方です。
基本的に一人称で物語はかかれています。
その章の引継ぎが面白い。
章の語り手が、その章の最期で登場人物にモノを渡します。
土産品なり、ビデオテープであり、です。
そしてモノを渡された人物が次の章の語り手となる
という形式です。
この物語のテーマの一つ(であろう)繋ぎマッチして
すっごくいいです

もう一つは一章の始めです
この小説、穏やかに読めます
日常的で、刺激的ではない楽しさが味わえます
裏を返せば印象に残らない場面もあります。
それでも、いえ、だからこそ、
読み終わったあと本をしまわず、ラストの余韻にひたった後で構いません
読み終わった後に、もう一回、一章始めの4,5ページで構いません
騙されたと思って読んでください
威力絶大です!
読まなきゃ損です!

北村さんの本をまた読みたいと思えた良い本でした。

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